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フランス発ミュージカルの魅力

  • 執筆者の写真: ゼミ 横山
    ゼミ 横山
  • 2021年11月16日
  • 読了時間: 5分

津田 瑠奈


ミュージカルといえば…? 

みなさんは、「ミュージカルの本場」と聞くとどこを思い浮かべますか? …そう、きっとブロードウェイでしょう!『サウンド・オブ・ミュージック』『オペラ座の怪人』『シカゴ』などなど…ブロードウェイ発の人気ミュージカルを挙げればキリがありません。しかし!ここで私は声を大にして伝えたいのです!


「フランス発のミュージカルもいいぞ!!!」と。


近年、日本でも上演される機会が増えたフレンチ・ミュージカル。ブロードウェイ作品に比べて歴史が浅いため、王道に囚われないロックな楽曲や奇抜な演出が大きな特徴です。筆者は中でもフレンチ・ミュージカルの「重低音のビートに合わせて中世ドラマが展開される」独特な雰囲気が何とも快感でして、気づいたら物語そっちのけでノリノリになってしまい、観終わった後に「結局どんな話だったんだ?」とあまり物語を理解していな…いや、何でもありません。



とにかく! 百聞は一見にしかずです! 

早速、ひとつナンバーを観てみましょう。みなさんとフレンチ・ミュージカルを引き合わせる大切なナンバーになると思い、まるでお見合い写真を選ぶかのような気持ちで選曲しました!筆者オススメの1曲です!

『Mozart L'Opéra Rock』より《Place Je Passe》


みなさん、どう思われたでしょうか。「良い曲だなあ!」「女性たちの衣装はなんなんだ!?」「モーツァルトみたいな格好の人がたくさん踊っている!?」……様々な衝撃があったかも知れませんが、「とりあえずなんかカッコイイ!」と感じた方も、「わけがわからない…」と思った方も、これから一緒にフレンチ・ミュージカルの魅力に迫っていきましょう!



魅力① かっこよくて親しみやすい楽曲 

先ほど紹介した動画にも一瞬演奏しているバンドが映りましたが、フレンチ・ミュージカルはその多くがロック調の楽曲で構成されています。ほぼ全編にわたりエレキギター、シンセサイザーなどの電子楽器が大活躍し、観客たちは立ち上がって歓声を送り、ミュージカルなのにまるでライブ会場のような熱狂ぶり。


また、ミュージカルナンバーというと「物語を知らないと状況が分からず取っつきにくい」といったイメージがある方もいるかも知れませんが、フレンチ・ミュージカルの楽曲は物語を知らなくても曲単体で楽しめる事が多いです。

例えば、こちらのナンバー。

『1789 Les Amants De La Bastille』より《Sur Ma Peau》


このミュージック・ビデオだけ観ると「どこかのバンドの曲かな?」と勘違いしてしまいそうです。実はこの曲、『1789』という作品のクライマックス直前に歌われる重要なナンバーなのですが…そんな背景を知らなかったとしても楽曲自体はポピュラー寄りで聴きやすく、受け入れやすいですよね。


このように、フレンチ・ミュージカルには作品のファンでなくても抵抗なく聴けるナンバーが多くあります。ミュージカルに苦手意識を持っている方がしばしば陥る「え、どんな状況?なぜ普通の会話をこんなに熱く歌ってるの?」という現象も、フレンチ・ミュージカルならフランス語という事もあって問題なく聞き流せるかもしれません!


※ちなみにこの曲の本編(ミュージカル版)はこちら↓ MVとは時代も場面も違います。

『1789 Les Amants De La Bastille』より《Sur Ma Peau》



魅力② 斬新な衣装や演出 

芸術の都パリを始め、国中が芸術文化への感度を高く持っているフランス。その趣向は、衣装や照明などにも色濃く表れています。

『Mozart L'Opéra Rock』より《Six Pieds Sous Terre》


このナンバーは、同じ男性を好きになってしまった姉妹がお互いを罵っている場面なのですが…それにしても、衣装、ヘアメイク、照明…何もかもがとても強烈!ただの姉妹喧嘩のはずなのに、なんだかお互い魔女や蛇のようで、“ただの姉妹喧嘩”には見えない様相を呈しています。


衣装やヘアメイクは時代考証に囚われないデザインとなっていて、筆者は初めて観た時「パリコレみたい…!」と驚愕しました。白とピンクのドレスの女性はつけまつげが嘘みたいに長くて、虎視眈々とした表情にさらなる不気味さを漂わせていると感じます。2人の後ろで踊る貴族たちの衣装にも蛍光色が使われていて、スポットライトが当たらなくても妖しい存在感を醸し出していますよね。

照明もなかなかサイケデリックで、ハッキリとした色を同時に4色以上使用しています。ここまで幻想的なライティングは、世界中のミュージカルの中でも珍しいのではないでしょうか。



魅力③ フレンチ・ロック × 歴史もの 

さて、ここまで3つのナンバーを一緒に観てきましたが、ここで私は1つの考えを述べたいと思います。


「フレンチ・ミュージカルのかっこよさ = フレンチ・ロック × 歴史もの」


これまで観てきたナンバーはどれも、中世の人物や事件を主題にした“歴史もの”の作品でした。(一番最初に観た作品でも、モーツァルトのようなカツラをかぶった男性たちが踊っていましたね…!)


“歴史もの”で音楽入りの舞台作品といえば、源流を辿るとオペラに行きつきます。オペラは、(現代でこそ前衛的な演出はあれど元はといえば)その時代を忠実に再現した衣装、西洋音楽理論に基づいた楽曲やオーケストレーションなど、いわば“正統派”であるものでした。時代が下り、そういった“正統派”であるはずの“歴史もの”に、フランスならではの敏感なアートエッセンスが付け加えられ(例えば先程の貴族コスチューム×蛍光色など)、魅力①や②で見てきたような親しみやすくもトゲのあるフレンチ・ミュージカルが生まれたのではないでしょうか。

これが私の考えるフレンチ・ミュージカルの「かっこよさ」の仕組みです。



最後に 

さて、今回はフランス生まれのミュージカルの魅力をご紹介しました。みなさまはどのように感じられたでしょうか?「あの曲いいな!」とか「こんな世界があるんだ~」と、少しでもフレンチ・ミュージカルに興味を持っていただけたら幸いです。


今回は、数あるフレンチ・ミュージカルの中から、

・『Mozart L'Opéra Rock(邦題: ロックオペラ モーツァルト)』

・『1789 Les Amants De La Basille(邦題: 1789 ーバスティーユの恋人たちー)』

の2作品のナンバーを取り上げました。


しかし、この他にも素晴らしい作品やナンバーは沢山あります。動画サイトやサブスクリプションで聴けるものも多いですし、日本語版で上演された作品も多数あります。もっと観てみたい!聴いてみたい!という方はぜひ調べてみてください!


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!


文責者:津田 瑠奈


#個人記事 #津田瑠奈 #2020年度


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