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寄席のすすめ

  • 執筆者の写真: ゼミ 横山
    ゼミ 横山
  • 2021年2月8日
  • 読了時間: 4分

藏田篤

突然ですが皆さんは寄席にいったことはありますか?多分ほとんどの人がないとこたえるのではないでしょうか。今の若い人はテレビやスマホでいつでもバラエティ番組やお笑いを見ることができるので、普通に生きていて寄席に行くことなんてそんなにないですよね。私もそんな若い人の一人でしたが、今回なんと一人で新宿末広亭という寄席に行ってきてとても面白かったのでその感想をシェアしたいと思います。


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著者撮影


そもそも寄席というのは講談・落語・浪曲・漫才などの演芸を観客に見せる興行小屋のことです。寄席の興業期間は、毎月「上席」「中席」「下席」と10日間ずつ区切った期間で昼と夜の二部構成で行われ、私は12月の中席の夜の部に行ってきました。寄席についたらまず木戸と呼ばれる窓口でチケットを買って入場し、空いている好きな席に座ります。予約などは必要ないので急に思い立っていくこともできますし、人気の落語家さんの寄席でも意外とすんなり見ることができるそうです。基本的に決まり事などもなく、いつ入退場しても良くて、マナーを守れば公演中の飲食も大丈夫だそうです。


そして私の今回の目当ては神田伯山という今人気の講釈師でした。講釈(=講談)と聞いてピンとくる人は少ないと思うので軽く説明しておくと、釈台と呼ばれる小さな机の前に座り、張り扇でそれを叩いて調子を取りつつ、軍記物や政談など主に歴史にちなんだ読み物を客に対してテンポよく読み上げる芸のことです。

神田伯山Twitterより引用

以前神田伯山がフジテレビのENGEIグランドスラムやTBSのベストワンにていたのを見ていた人もいるかもしれませんね。私も講釈のことはちょっと聞いたことがあるくらいでずぶの素人だったのですが、「問わず語りの神田伯山」というラジオのリスナーだったので以前から神田伯山の大ファンでした。相手関係なく悪口言って周りに敵作りまくるくせにたまに自虐して愚痴っているのが面白すぎて最高です。


話を戻すと、当日末広亭に行ったのは午後の部が始まって少し経った6時前でした。正直その時は「伯山の講釈見に来ただけなんだけどまぁ寒いし同じ金払うんだしほかの人のも見ておくか」くらいに思っていました。ところがいざ中に入ってみるとコロナの影響で窓が全部空いていてほぼ外と変わらないくらい寒かったです。そして噺家や大道芸人の芸がめちゃくちゃ面白かったです。特に代役で急遽入っていた三遊亭遊吉の枕が大学で学生相手に授業をした話で親近感を持ちやすいのもあって、枕から爆笑していました。客席も終始笑いが起こっていて、普段ここまで大きな笑い声に囲まれることはなかったので自分が笑わせているわけでもないのに変な高揚感がありました。また、前の方の出番の噺家が次の出番の芸人をいじったり、伯山の姉弟子の神田阿久鯉や師匠の神田松鯉が出てきてとやかく言ったりとその日の寄席に出ている全員で番組を作っている感じがとても新鮮で面白かったです。


そして徐々に客席も埋まった8時ごろにトリの神田伯山が出てきて場内は一気にもりあがり、出てきてからの第一声は「こんな寒い日に来てくれるお客様は神様ですね」という聞きなれない言葉で、いつもラジオではリスナーのことをクソリスナーと罵っているのに寄席だと神様かよとも思いましたが、それも寄席の空気感のおかげだと感じました。


その後はまずラジオリスナーにしかわからない話をしたり、当日にツイッターでエゴサをした話をしたりとお客さんの心をつかんだところで「青龍刀権次」という講談を初めて、とても引き込まれました。歴史ものというと合戦の描写で物語性の強いものなのかなと思っていましたが笑いどころ満載の良い意味で期待を裏切られた初講談となりました。また、コロナ渦でいろいろと大変な演芸界が規制がある中でも笑いを届けようとしている芸人さんたちの心意気を生で感じることができたと思います。

伯山ティービィーより引用

今回行った新宿末廣亭2020年12月中席の楽屋裏の様子が伯山ティービィーという講談師神田伯山公式ユーチューブチャンネルに上がっています。また、今回の寄席は神田伯山主催の寄席でもあったので翌週のラジオでも丸まる一回がこの寄席の裏話についての回でした。寄席で楽しんでラジオで楽しんでユーチューブで楽しんでと3回も楽しむことができたので私の寄席デビューは大成功することができたと思います。

皆さんも出先で急に暇な時間ができたら軽い気持ちで是非寄席に足を運んでみてはいかがでしょうか。



神田伯山

2007年 11月 三代目神田松鯉に入門し、「松之丞」

2012年 6月 二ツ目昇進

2020年 2月 真打昇進と同時に六代目神田伯山襲名



#藏田篤

#個人記事

#2020年度




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